おとなの音楽 #2ハービー・ハンコック「RIVER~ジョニ・ミッチェルへのオマージュ」

お年寄りもおとなも落ち着いて楽しめるアルバムの紹介をしていくシリーズです。
今回はモダンジャズからヒップホップへと幅広い表現に挑戦し続けるハービー・ハンコックの軌跡を読み解きながら、最終的にはアルバム「RIVER~ジョニ・ミッチェルへのオマージュ」まで各年代の音を比べながら聴いていきたいと思います。

ハービー・ハンコックは常に挑戦している

ハービー・ハンコックといえば、あたらしい技法を常に音楽に取り入れているジャズミュージシャンという印象があります。
シンセサイザーが新しく出てくるとシンセサイザーを迷わずに使ったり、ジャズというカテゴリーに囚われることなく、時代と並走しながら自分の表現したいものを模索しているアーティストの一人です。

彼は1960年プロとしてデビューした後、1963~68年はマイルス・デイビス・クインテットのメンバーとして活躍 します。
1962年ジャズの名門レーベルブルーノートから「テイキン・オフ」でデビュー、その後1965年自身の代表作となる「処女航海」を発表し、モダンジャズの名盤なり新主流派といわれるようになります。

アルバム処女航海より「処女航海」

その後も精力的にアルバムを発表し続け、70年代にはエレクトリック・ピアノを多用したファンク色の強い「ヘッド・ハンターズ」を発表します。このアルバムはジャズファン以外の層からも強く支持され、記録的な売り上げとなりました。ジャズ・ファンク、ジャズ・フュージョンというジャンルに多大な影響を及ぼしました。しかし、エレクトリック・ピアノ/キーボードの多用で「ハービーは墜落した。もうアコースティックピアノは弾けないのだろう」といった非難を浴びることにもなりました。アコースティックピアノが弾けないというのはただの中傷でしたが、新しいものを受け入れ難いジャズファンが多かったのでしょうね。

アルバム「ヘッドハンターズ」より「カメレオン」

80年代になると、「フューチャーショック」というアルバムでヒップ・ホップを大胆に取り入れ、クラブミュージックの方向を決定しました。
ヒップホップのリズムとの融合は、アルバム「エンピリアン・アイルズ」の中の「カンタループ・アイランド」という曲の方が先になるかもしれません。

アルバム「フューチャー・ショック」より「ロックイット」

このように、ハービーハンコックは常に時代と並走し、新しい音楽を切り開いて自己を表現してきたアーティストなのです。

River~ジョニ・ミッチェルへのオマージュ

「RIVER~ジョニ・ミッチェルへのオマージュ」を初めてきいたとき、アルバム「処女航海」から始まった私のハービー歴を見事にひっくり返してくれるような気がしました。いい意味で驚いたのです。


RIVER~ジョニ・ミッチェルへのオマージュ

RIVER~ジョニ・ミッチェルへのオマージュ

アーティスト: ハービー・ハンコック,ウェイン・ショーター,デイヴ・ホランド,ヴィニー・カリウタ,ライオネル・ルーク
出版社/メーカー: UNIVERSAL CLASSICS(P)(M)
発売日: 2007/09/19

アルバムの一曲目「 Court and Spark 」を聴いたとき、「ハービーのアルバムでノラ・ジョーンズが歌っているとは…」という感想と感動を真っ先に感じました。この二人の競演というのが思いつかなかったのですが、これもまたいい意味で裏切られたのでした。

Herbie Hancock (featuring Norah Jones) – Court and Spark

改めてハービーのこういった音楽履歴を振り返りながら聴いてくると、常に実験を繰り返していた人でもあったんだな、と思いました。

ブルーノートにいるときも、常に音の進化に努力を惜しまない人でした。

「Bopか!いや、フリージャズか!でも、ロックか!」

と、あらゆる手法でのJazzをやってきてJazzからフュージョン(いや、Jazzもフュージョンのうちですが)、と色んなことをしてきた人だったのです。
このアルバムにはNorah Jonesは出てきて、さすがに新しいものに敏感な人だと思わされます。
Tina Turnerも独特な喉を聞かせてくれています。

アルバム「RIVER…」には処女航海のときのようなJazzの王道的な音を持ちながら、Rock Itのような遊びも含まれているのです。

単なる「実験」ではなく彼の今の「自然体」でこのアルバムの音が出てきたのでしょう。

こういう実験的なことをやっている同年代のアーティストに、スティービー・ワンダーがいたなぁ、とふと思いだしますね。

Jazzのクラシックな世界にシンセが入り込んできたとき、積極的に取り入れていたのは、ハービーだと思います。(スティービーはその点で、更に積極的でしたが)

Jazzがちょっと変わってきたときにJazzを裏切ることなく、音の性格を変えて音を楽しんだハービー・ハンコック。

彼があらゆる方向性の音楽を試してできた今回のアルバム「RIVER」。原点から今迄の彼の経歴を網羅した素敵な一枚であると祝福したいです。

盟友ジョニ・ミッチェルへのトリュビュートであるこのアルバムは、
豪華なボーカル陣をゲストに迎えて、
第50回 2008 グラミー賞』年間最優秀アルバム賞 受賞
第50回 2008 グラミー賞』最優秀コンテンポリー・ジャズ・アルバム 賞

という輝かしい賞をもらったアルバムでもあります。

アコースティックな中にも、ポップさや、懐かしさ、艶っぽさを感じるアルバムに仕上がっていると、一枚を最後まで聞いたとき感じました。

私は「Court And Spark」、
「Edhith And The Kingpin」
「SWEET BIRD」
辺りのバリエーションの広さに、ハービー・ハンコックの懐の深さを感じます。

最近ハービーを聴かなくなっている人がこのアルバムを聴いたらどう思うのかとふと頭をよぎります。

やっぱり、「ああ、ハービー・ハンコックらしいな」と思ってくれると、私は思います。

ぜひ、それは各人の耳で聴いて確かめてください。

今日のおすすめの一枚でした。

リヴァー~ジョニ・ミッチェルへのオマージュ/ハービー・ハンコック商品ページはこちら

Edith and the Kingpin ? Herbie HANCOCK & Tina TURNER


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